【先輩保健師に転職体験を聞いてみた!】産業保健師への転職体験記①

保健師

お疲れ様です。
転職したいと思った時、受験勉強は合格体験記はたくさんあるのに、転職体験記がほとんどない。
転職に至るプロセスやリアルを知りたい!
絶対にそこにはストーリーがあるはず。
そんな思いから、「先輩保健師に転職体験を聞いてみた」を作ってみました。
第1回目は、ベテラン産業保健師さんのNさんです。
看護師→行政保健師→産業保健師 の流れでの転職。
当時の状況や思いが率直に語ってくださっていて、必見です☆

自己紹介

看護大学卒業後、都内の大学病院に2年間勤務。
その後、保健師業務を志し、行政保健師を2年経験後、産業保健師へ転職。
現役産業保健師として電気機器メーカーに15年間勤務し、社員の健康支援業務に従事。

憧れの大学病院の病棟看護師になる。


幼い頃から「誰かの役に立つ仕事に就きたい」という気持ちが強く、中学生時代には「看護師になりたい」という気持ちが固まっていました。
大学では看護学部を専攻し、看護師国家資格・保健師国家資格を取得。保健師の国家資格は「資格が多いほうが、将来の選択肢が広がる」という理由から資格取得に臨みました。就職先に選んだ大学病院は東京都内での有名な大学病院でした。周りの同級生の就職先病院よりもお給料が良いし、何よりもネームバリューに惹かれ迷わす応募し、内定を頂きました。
今思うと、自分がどのような看護師になりたいか、患者さんに対してどのような看護をしたいかイメージが曖昧でした。大学病院のため、沢山の病棟がありましたが、私は特に希望する配属希望先の希望も出さず、脳血管疾患・神経難病治療病棟へ配属となりました。
実際に新人看護師として働く中で、日々覚えることの多さ、仕事で学んだことを清書し、分からなかったことを調べる毎日に悪戦苦闘していました。また、元々生真面目すぎる性格ということもあり「周りの新人同期に比べて自分だけ遅れをとっている」「自分は仕事ができないのかも」という思いに駆られ、だんだんとメンタル面での不調を感じるようになりました。
大変な日々の中でも、新卒看護師での大学病院勤務は、新人研修制度やプリセプター制度が整っており、新しい医療器具や個人病院では携わることが出来ない処置、検査の介助、看護することができとても成長する機会になりました。看護の基本や患者さんへの姿勢を学ぶ良い経験となりました。さまざまな先輩看護師からの叱責やアドバイスを頂きながら、仕事帰りには仲の良い同期と一緒に居酒屋で愚痴と反省会をする日々でしたが、今思えばとても貴重な経験です。
夜勤により生活リズムを崩しがちだったこともあり、私は看護師2年目で心身の体調を崩し、病棟看護師を退職し東京から地元にUターンすることにしました。

初めての保健師業務


大学病院を退職し、地元に戻り「看護職として自分はどのように働くのが向いているのだろう」と悩む日々の中で「病気の発症を未然に防ぐ」保健師という仕事にチャレンジしてみたいという気持ちが強くなっていきました。看護師の臨床現場での緊張感が保健師にはないのではないかという期待もありました。
保健師として働いてみたい!という気持ちはあるものの、実際に求人票をみても看護師と比較すると保健師の求人は圧倒的に少ない状況でした。ハローワークや転職サイトを見ても、なかなか見つかりません。そのような中でパート職ではありましたが、県の保健師の求人があり、県庁職員の健康管理を行なう行政保健師のお仕事をさせて頂く機会を得ることができました。初めての行政保健師の業務経験が、後に私が産業保健師となるきっかけとなります。
保健師の魅力は、看護師と違って夜勤がなく、習い事に通ったりプライベートを充実することができました。行政保健師は公務員となり、基本土日祝祭日がお休みなので旅行などの計画も立てやすい状況が有難かったです。
体力面でも、看護師時代に悩まされていた、夜勤特有の睡眠不足や重労働作業での腰痛が軽減され、毎日体調を安定してお仕事できる日々に改善されました。看護師特有の臨床現場での緊張感やピリピリとした雰囲気が苦手な私にとってメンタル面でも保健師は非常に合っていると思いました。
体力面やメンタル面のみではなく、管理栄養士さんや男性事務職の方など、様々な職種の方と一緒に働く環境は、色々な意見を交流する場として刺激があり、楽しかったです。
保健師の業務としては「特定保健指導」をメインとして行ない「特定保健指導実践者育成研修受講者」としての経験を積み上げてきました。
行政保健師としての日々経験を積み重ねる中で、企業の正社員としての産業保健師の求人を見つけ、今までの保健師としての経験を活かし保健師としてスキルアップしていきたいという思いもあり求人応募・内定を頂き、産業保健師として働くことになりました。
企業採用者には、保健師としての実務経験があるという点を見て頂き、採用まで至ることができました。小さな経験でも採用に有利に働くため、保健師としての実務経験を積んでおいたことは良かったと感じています。

産業保健師としてのやりがい


約1,000名の大手電気機器メーカーの人事部に所属し、産業保健師1名として働くことになりました。前任者がおらず、一から産業保健の体制を作り上げていくという状況から始まりましたが、今では勤務して15年目となります。最初は右も左も分からず、産業保健って何から手をつければ良いのだろう・・という状況でした。
「社員を健康にしたい」「会社に健康づくりの風土を構築したい」という気持ちで、産業保健関連の本を読み漁り、様々な研修に参加し、会社の産業保健体制を整えマニュアルを作成しました。同じグループ会社の先輩保健師さんにも相談しながら会社の産業保健体制を整えることは大変でしたが、とてもやりがいがありました。
産業保健師としての業務は
・健康診断の実施・フォロー
・安全衛生委員会の運営
・ストレスチェックの実施・フォロー
・健康に関する研修やイベント企画開催
・産業医との連携、フォロー業務
・社員の体調不良対応
・メンタルヘルス不調者への復職支援
・職場巡視
・各種面談業務
等、多岐に渡ります。

産業保健師は、社員には「会社にいる保健室の先生」として認識されますが、頼りにされるには社員一人ひとりとの信頼関係が大切です。少しの関わりでも誠実に真面目に対応し、「この保健師さんなら信頼しても大丈夫」という認識を持ってもらうことが重要で、時間もかかり非常に難しいですがやりがいもありました。淡々と業務を行なうのではなく、コミュニケーションを大切にして社員のことを知りたい、自分のことを知ってほしいという姿勢が大切です。
また、産業保健師として会社側からも信頼できる存在になる必要があります。経営層や職場管理職にエビデンスを持って発信する力が大切になります。相手に納得してもらうには、自分自身の知識の向上・社会人としての基本を身につけることが第一前提となります。
病院で働く看護師とは違い、産業保健師は企業で働く「一会社員」となります。あくまでも会社の社員の一人です。人事部に所属している身でもあり、電話応対や来客対応など総務のお仕事にも多く携わっていました。看護職なのに会社員としてこんなお仕事もしないといけないの?ということが、産業保健師になると考えさせられる機会があるかと思います。当時は悩み苦しみましたが、様々な業務経験していく中で、どのような会社か、どのような社員がいるのか、会社に必要な健康支援はなにか等、会社全体を見る目を養うことができ、結果として従業員に寄り添った健康支援へつなげることが出来ました。

「産業保健とは」という点を模索しながら勉強し、地道に社内で活動を進めていった結果、企業の健康活動が評価され、経済産業省による「健康経営優良法人ホワイト500」を取得することができました。
産業保健師の魅力とは、企業人としてのマナーやコミュニケーション力を身に着けることが出来たことだと感じています。誰かに言われた仕事のみをするのではなく、自分自身で、会社と社員のために必要な健康支援活動を考え、実践することはとても楽しいことです。少しずつ会社や社員に頼られ、社会的にも活動を評価されると「産業保健師になって良かった」と感じます。

最後に

皆様、いかががでしたでしょうか?
Nさんから初めて原稿いただいたとき、転職活動していた2年前に読みたかった!
と心から思いました。
そして、転職には必ずストーリーがありますね。
今、転職しようか悩んでいたり、少しでも転職を考えられている保健師さんへ少しでも参考になればと思います。

Nさん、この度はお忙しい中ご協力本当にありがとうございました。

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